食の安心・安全への意識が高まる中、製造者(工場・メーカー)にとって、「異物混入」は少しでもリスクを下げたいはず。
僕自身も新卒から食品メーカー複数社でキャリアを積んできましたが、異物との闘いの日々でした。
本記事ではこれまでの経験を活かして、異物混入の原因になりうるものをご紹介します。
この記事を読んでくださっている方・企業様の品質保証・品質管理体制にすこしでも参考になれば幸いです。
◆食品工場で異物混入の原因になるモノ
工場の外から入ってくる異物
虫
メイガのような貯穀害虫は、食品の工場で問題になりやすい異物の一つです。
人間にとっておいしいと感じたり、栄養を取るために必要な食品は、虫にとっても栄養源になります。
対策として、以下のものが挙げられます。
① 虫が入ってこないようにする:壁に穴が開いていればふさぐ。工場内を陽圧にする。など
② 虫が入ってきたときにすぐに捕虫する:捕虫器をセットする。など
③ 工場内の虫を増やさないようにする:捕虫記録を取り、捕虫数をモニタリングする。工場内を清潔に保つ。など
虫が入っていたというクレームに対する対応策としても記事を書いているので、ご興味がある方はこちらも併せてご覧ください↓
現場担当員による持ち込み物
作業員の持ち物によって、異物混入の原因となってしまう場合があります。
- たばこ
- シャープペン(の芯)
- 消しゴム(けしくず)
- その他文房具(クリップ・ホッチキスなど)や、その他の私物
こういったものが挙げられます。
これらは、製造現場に持ち込まないのが鉄則です。 工場内、製造エリア内に持ち込んではいけないものをルール化し、従業員に周知しましょう。
資材に付着している異物
段ボールや、パッケージ資材、フィルム類に異物・汚れが付着していたり、資材自体がほつれて異物として混入してしまうケースがあります。
製造現場に持ち込む際には、外観の異常を確認してから持ち込んだり、段ボールを準清潔区で開封して中身だけをもち込むなどの対策があります。
工場の中に元々あったモノが原因の異物
設備・備品・機械の破損による破片
パッキンやメッシュなどは、経年劣化による摩耗によって異物混入の原因になりやすいものです。
ウェスや、清掃用具(ブラシ)なども糸ほつれ・破損・摩耗していると異物混入の原因となります。
破損・摩耗箇所があるものは修理したり、取り替えたり、製造エリアでの使用をしないことで異物混入のリスクを下げましょう。
ラインを補修している養生テープ
生産ライン上の破損個所や、目印として養生テープなどを使用している工場がありますが、これはお勧めしません。
はがれやすく、異物混入の原因になるためです。
どうしてもテープを使用する場合には、使用するテープの色を指定するのがポイントです。
例えば、工場内では赤いテープしか使わないという風に決めてしまうのです。
工場内で使用しているテープの色が定まっていれば、異物(テープが入っていた)のクレームを受けたときに特定が容易になります。
ガムテープなど汎用性が高いものは、絶対にライン補修に使用してはいけません。
クレームを受けた時に、どこで入ったのか特定が非常に難しくなるためです。
原材料由来の異物
原材料として使用するナッツのからや、その他天然物(植物)に混入しやすい木片・虫・繊維などがあります。
天然物に入っている異物のリスクを完全に取り払うことはとても難しいですが、サプライヤーとリスクを事前に確認しておき、可能な限り異物を減らしてもらえるよう相談しておきましょう。
また、原材料を梱包していた袋を開封するときに、袋の切れ端も誤って生産ラインに入ってしまうケースもあります。
原材料の梱包を開封する際には、切れ味が十分なハサミを使い、破片(切れ端)が混入しないようにしましょう。
前製品の残渣
生産後のライン洗浄・清掃が十分でないと、生産中に発生した残渣がライン上にとりこのされてしまいます。
これが、次の生産の製品に混入してしまうケースです。
対策としては、生産後の洗浄・清掃の徹底や、作業者の継続的な教育があります。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ(仕組み))を徹底しましょう。
最後に
異物混入には必ず原因があります。
混入の経路を特定することはとても重要ですが、特定しやすい環境を作っておく(そもそもリスクを下げておく)ことがとても効果的です。
異物のお申し出(クレーム)を受けると、信用を失うとともに、調査によって社内のリソースが削られてしまいます。
あらかじめ、効果的なコスパのよい対策を検討しておき、有効な品質保証・品質管理体制をつくっておきましょう。
コメント