HACCP(ハサップ)を導入した運用を始めたり、実際に認証を取得したのに、
ナゼ うちの工場の異物混入事故がなかなか減らないのだろう?
こんな風に悩んでいる品質保証の方も多いのではないでしょうか?
本日は、HACCP(ハサップ)を導入しても「異物混入」が減らせないワケをご紹介します。
結論は、一般衛生管理ができていないから、です。
◆ こんな人向けの記事です:
食品メーカー・工場の品質保証になった方
HACCPについて勉強している方
HACCP(ハサップ)とは? 食品の品質保証における共通言語
HACCPについてはご存じの方も多いので、超カンタンにおさらいです。
(すでにご存じの方は、この項目は読み飛ばしてください)
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、製造における危害(Hazard:ハザード)を分析し、重要管理点(CCP)を定め、その重要管理点が行われているかどうかを管理・監視することで、食品衛生におけるリスクを排除・低減するための手法です。
すごく簡単に言ってしまうと、HACCPとは、
「自分たちが作ろうとしている製品は…
- どんな原材料を使うんだっけ?
- それぞれの原材料における危害(ハザード)はなんだろう?
- どんな工程で作るんだっけ? 危害(ハザード)につながる工程は、どこだろう? どんなふうに監視すればよいかな?」
と危害を分析して管理することで、安心な食品を生産するための手法です。
HACCPはFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同機関であるCODEX委員会が示した、衛生管理方式の国際基準です。
一般的に浸透している手法ですし、日本でも、令和3年(2021年)6月から施行の食品衛生法の改正によって、食品を取り扱う事業者でHACCPによる衛生管理の義務化が開始されました。
つまり、HACCPは、食品の品質保証における共通言語といえます。
HACCPは「一般衛生管理」とセットで機能する
安全な商品を生産するために、HACCPの考え方はとても有効です。
一方で、HACCPは万能ではありません。
HACCPには、一般衛生管理という前提条件が必要だからです。
(一般衛生管理:PRP(Prerequisite Programs))
例えば、異物が入らないようにする目的で、X線検査機や金属探知機を購入して工程管理していても、工場の中にたくさん虫が飛んでいたり、ライン上にネジや髪の毛が落ちていては、危害(ハザード)を取り除くことはできません。
一般衛生管理(PRP)が出来ていて初めて、HACCPが有効になるのです。
一般衛生管理としては、以下の14が挙げられます。
(ここでは各詳細は割愛しますが、参考となる厚労省のリンクを貼りつけておきます)
1. 食品衛生責任者の選任
2. 施設の衛生管理
3. 設備等の衛生管理
4. 使用水等の衛生管理
5. ねずみ及び昆虫対策
6. 廃棄物及び排水の取り扱い
7. 食品または添加物を取り扱う者の衛生管理
8. 検食の実施
9. 情報の提供
10. 回収・廃棄
11. 運搬
12. 販売
13. 教育訓練
14. その他
(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000706448.pdf)
一般衛生管理ができているか地道に確認しよう
異物混入などの健康危害につながるような事故が減らずに困っている品質保証や製造現場の方は、まずは一般衛生管理(PRP)がしっかりとできているか、地道に確認してみてはいかがでしょうか。
また、製造を委託している場合には、取引先の工場もチェックしましょう。
これまで50以上の工場を監査してきましたが、意外と「FSSC22000(やISO22000)を取得している」ことで、思考停止してしまっている工場も多いです…。
本当に異物を減らしたいのであれば、前提条件である一般衛生管理を見直してみると、近道だったりします。
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