【品質保証】工場監査で指摘するときに注意したいこと【監査員向け】

品質保証・品質管理

製造所・工場に対して監査・視察を行うときに、直してほしいところを「指摘」する場合があると思います。

本日は監査員が工場に対して「指摘」する際に、注意したい点をご紹介します。

それは、「指摘の理由(背景)を伝えたうえで、指摘すること」です。

こんな人向けの記事です:

取引先の工場に対して、監査を行う方。(品質保証・品質管理などの品質部門の方)

「工場を監査する」とは

監査は、取引先、もしくは取引先になる可能性がある工場の現状を見極めるための一つの手法です。

工場監査の際には、事前に確認すべきチェック項目を用意したうえで行います。

チェックシートをもとに工場の品質保証体制や、製造現場を確認し、

  • 生産を任せても良いかどうか
  • 生産を任せると、どんなリスクがあるかどうか

を判断します。

監査をした結果リスクが見つかった時には、工場に対して指摘をし、
そのリスクを除去する(もしくは、コントロール可能な範囲まで小さくする)ための是正処置(改善)を設定します。

指摘だけしてはダメ

監査を終えて、何かリスクを発見した時には、「指摘」を行いますが、ここで注意が必要です。

指摘をする時には、「指摘をした背景(理由)」を必ず工場に伝えましょう。

指摘された理由が分からないと、対策が不十分になってしまうからです。

お姑さんが、重箱の隅をつつくような小言を言ってくるような印象になってしまいます。

例として、生産記録が十分でなかったケースを見てみます。

生産記録を付ける目的は

  • 生産中に発生した事象を記録しておくことで、後に振り返ることができるようにする
  • 生産の中でいつもと違う事象が発生していないか確認しやすくする
  • 生産後に何か不具合があった際に、原因の特定がしやすくなる

こういったことが挙げられます。

「生産記録を付けていなかった」ことを発見した時に、悪い指摘の例としては、「生産記録の帳票に、記録がされていない箇所があった。必ず記録をしてください」というもの。

この指摘では、「製造記録をちゃんとつけてなかったから指摘された」ことは伝わりますが、「製造記録をつけていないことによって、どんな悪いことが起こるか」が工場に伝わりません。

すると、「製造記録をつければよい」と理解されてしまって、雑に記録されたり、字が汚かったり、記録すべき内容が正しく記録されない可能性が残ってしまいます。

製造記録は、あくまで手段です。 目的は上述したとおり製造に問題が無いことを保証したり、何かあった時にすぐにアクションできるようにしておくためです。

このように 指摘を受けた側(工場)が手段と目的をはき違えないように、
指摘をする時には、「指摘をした背景(理由)」を必ず工場に伝えましょう。

製造所のために発言している、ということも伝えよう

また、指摘の理由を伝える際には、監査先(工場)に対してもメリットがあることを明確に伝えると、指摘の内容をしっかりと受け止めてくれるでしょう。

例えば、

<ケースA>
① 指摘事項:製造記録が正しくつけられていない。
② 工場へのメリットが伝わる指摘方法:製造記録が正しくつけられていないと、何か不具合品が流出してしまった時に、回収(リコール)する範囲が広がってしまう。
そうすると、工場に保証してもらわなくてはならない額も増えてしまう。 そういった事態を避けるためにも、製造記録をしっかりとつけてほしい。

<ケースB>
① 指摘事項:工場内の清掃が行き届いていない。
② 工場へのメリットが伝わる指摘方法:工場の中の5Sが徹底されておらずに、清潔でないと、異物混入のリスクが高まる。 場内を清潔に保っておけば、万が一お客さまから異物混入のお申し出(クレーム)を受けた際に、「工場内は清掃が行き届いているので、工場での生産工程で混入した可能性が低いです」と説明できる。

このように、指摘をした側(監査員)、指摘を受けた側(工場)の双方にとってWin-Winとなるような監査を目指すとよいです。

一番サイアクな指摘は、「ルールだから、○○してください」です。

これでは、指摘を受けた理由もわかりませんが、ルールそのものの背景が理解できないため、是正処置も「言われたからやる」というレベルになってしまいます。

最後に

本日は、「監査」を担当する品質部門(品質保証や品質管理)の方に向けて、「監査の指摘の仕方」についての記事を書いてみました。

他にも当ブログでは品証部門の方向けの記事を書いているので、ご興味がある方はぜひ読んでいっていただけると幸いです。

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