品質保証・品質管理の情報発信・プレゼンテーションの心構え

メーカーあるある

僕は10年間、メーカーでモノづくりを経験をしており、そのうちの大部分を品質保証(Quality Assurance:QA)・管理(Quality Control : QC)でキャリアを積んできました。

この経験の中で、品質保証こそ、プレゼンテーション力が命だ!と痛感しています。

本日は、品質部門がプレゼンテーションで心がけるべきことや、品質部門のあるあるの悩みである「社内の関係部門の品質への関心の薄さ」について、書いてみたいと思います。

こんな方向けの記事です:

このページにたどり着いてくださった方は、
● 品質部門で働いている人
● 品質(部門)に関心が高い人

このような方だと思うので、このような方に少しでもヒントとなる点を共有できると幸いです。

品質部門のアナタは、プレゼン前にこんな悩みを抱えていませんか?

品質部門(品質保証/QA・品質管理/QC)のアナタは、日ごろの業務でこんなことを感じているのではないでしょうか。

  • 自分たち品質部門は、製品の品質を守ったり、カイゼンするために情報発信しているのに、どうも社内関係部署の人たちの関心を得られない
  • 何度も研修を実施して、従業員教育・トレーニングに励んでいるのに、品質が一向に良くならない。
  • そもそも、社内の関連部署(製造部や製品開発、マーケティング部)の人たちは、品質に関心が無さすぎる。

僕たち品質部門は、より良い商品をお客さまに届けたい一心で、新しいルールや仕組みを作ったり、研修・トレーニングを実施しているのに、憎まれ役になってしまいがち。

これは、メーカーあるあるではないでしょうか。

僕は、これまでの複数の転職経験があり、その中でいろいろな品質部門の方と一緒に働いてきましたが、この悩みはどこに行っても共通の悩みのように思います。

それでも、品質部門は自分たちのミッションに従って、品質を維持・向上していかなくてはなりません。

どうすれば、ステークホルダーたちは、僕たちの発信・プレゼンにより耳を傾けてくれるのでしょうか。

品質保証・品質管理のアナタがプレゼン前に自覚すべきこと

まず、ズバリ言ってしまうと、残念ながら社内の誰もが、品質部門のプレゼンを楽しみにしていません。

「今日の会議では、品質保証のプレゼンがあります」こんな風に言われると、

品証の話は、
・眠くなりそう(すでに眠い)、つまらなそう
・抽象的だったり、難しそう
・俺(私)には関係が無い、もしくは、関わりたくない

社内の人は、こんな風に思っています。

品質保証は難しい話をしそうだ、だから、面倒くさい(できれば関わりたくない)。

でも実は、品質部門(品質保証・管理)の私たちが認識しなくてはならないことがあります。

それは、

品質部門は人に動いてもらわないと、成り立たない仕事。

ということです。 どういうことか説明します。

例えば、僕たち品質部門は、

  • 基準(ルールや手順)を作って製造現場の人に守ってもらう
  • 業務フローを作って、社内の人に従ってもらう
  • 研修・トレーニングを実施して、品質への意識を高めてもらう

このように、人を介して何らかの効果を狙うのが、品質部門です。

製品の処方を直接開発できる製品開発や、プロモーション方法を作って実行するマーケティング部門、モノの流れを直接操作するサプライチェーンとは違って、品質部門の業務は関節的です。

品質部門の仕事は、人に動いてもらって初めて、成果につながるからこそ、人を動かす(動いてもらう)ことが重要です。

AIDMAを利用した発信で相手を動かそう

品質部門の情報発信やプレゼンテーションにおいても、AIDMAを利用した手法が非常に有効です。

AIDMAとは、マーケティング用語で、消費者の購買意欲を促す手法を指します。

Attention(注目する)、Interest(興味を持つ)、Desire(欲しいと思う)、記憶する(Memory)、Action(最終的に購買を決定する)の頭文字をとって、AIDMAです。

AIDMAについては、グロービスのサイトでわかりやすく説明されています:

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12514.html

Attention(注目する)

まずは、聞き手・読み手に注目してもらいましょう。

プレゼンや資料の導入の一文は、短くキャッチーにしましょう。

悪い例:2021年の品質不良及び是正処置の効果についてのご説明
良い例:2021年 クレーム率が50%減りました!

文字数を少なく、シンプルにし、思わず先が気になるようなものにします。

中学生でも理解できる言葉遣いにするとよいです。

Interest (関心を持つ)

プレゼンの中で、より相手に関心を持ってもらえるよう検討します。

関心を持ってもらうためには、相手(プレゼンの聞き手)のことを思って発信するとよいです。社内の人の共通の関心事は「お金」ですから、お金を単位とすると効果的だったりします。

悪い例:充填機の不具合を減少させましょう。
良い例:充填機を改良できると、歩留まりが10%(年間1,000万円)向上しますよ

上述した通り、品質部門の話は難しく、抽象的だと思われています。

そのため、聞き手にとって具体的な数字で、かつわかりやすい(イメージしやすい)ものを使います。

Desire (共感してもらう)

情報発信の際には、「他人事」と思われないように心掛けます。

特に、品質部門の話は難しいと思われがちなので、面倒くさがられてしまいます。

より自分事としてとらえてもらうために、共感してもらいやすい表現を活用します。

悪い例:不良品を出さないようにしましょう。
良い例:皆さんが商品を買った時に、こんな不良品だったら、リピートしないですよね。

※情報発信やプレゼンが限られたメンバーだけの場合、聞き手の共感をより促すため、ピンポイントでKPIを使った訴求で効果が増します。 


例えば、
製造部が聞き手の場合 … 不良品を減らせば、歩留まりが●%も上がるので、今年の目標達成に近づくと思います。

製品開発が聞き手の場合 … 不良品を減らすことができれば、リピート率が上がって売り上げが増えるでしょう。

Memory (覚えてもらう)

繰り返しになりますが、品質部門の話はそもそも難しいと思われています。

なので、なるべく情報量を減らして、「今日は、1点だけ覚えて帰ってください!」くらいに絞れるだけ絞ります。

詰め込みすぎは、要注意です。

Action (行動してもらう)

上述した通り、品質部門は相手に動いてもらって初めて成果を出すことができる部署です。

そのため、聞き手(読み手)に何をしてほしいのかを明確にしておきましょう。

研修だったら、学んだ事を覚えてもらって業務の中で活かしてもらう。
新しい工場の製造現場の手順書の紹介であれば、手順を守ってもらう。

必ず、Action(目指すべきゴール)をイメージしておきます。

ついついやってしまいがちですが、自分たちが品質を改善するためにこれまでやってきた話などのいわゆる「苦労話」をしてしまいがちですが、目的は相手に動いてもらうことです。

最後に

本日は、品質保証・品質管理の情報発信・プレゼンテーションの心構えについて書いてみました。

今後も、QA/QCならではの悩みについて、書いていきたいと思います。

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